教育やビジネス、スポーツなど、幅広い分野で実績をあげている「コーチング」。近年はグローバル規模でコーチングを活用する人口が増え、日本でも定着しつつあります。
とはいえ、実際のところ「コーチングとはどのようなものなの?」「私たちの生き方・働き方にどのように役立つの?」とお思いの方も少なくないはず。そこでこの連載コラムでは、ワークライフバランスの2大要素である“仕事”と“プライベート”の側面から「私たちの日常に資するコーチング」について、ライフビジネスプロデューサー・松永真由氏がお届けします。
#1 コーチングとは? 〜ビジネスや教育で活用されるコーチング
ライフビジネスプロデューサー : 松永 真由
- T&R認定 デュアルデザイン(R)
- コーチングプロフェッショナル資格
- T&R認定 LD(R)ビジョン分析アドバイザー
15年前よりカラーセラピストとして活動を始め、その後様々な心理学・催眠療法・コーチングなどを学び、プログラムのアップデートを重ねる。
現在は「脳科学」と「心理学」を中心に、意識だけではなく無意識の力も活用した「ライフシフトプログラム」を提唱。
ライフビジネスプロデューサーとして、「本当にやりたいことを見つけて実現していきたい方」に向け、メンタル・コーチングの個人セッションやグループワークを提供し、個人から企業まで幅広くクライアントをサポートしている。
コーチングとは
コーチングの成り立ちや歴史には様々な流れや理論があり、時代とともに発展してきました。「コーチ」と「クライアント」が協力しながら進む、という点は共通していますが、成長途上の分野ゆえ、考え方や解釈、アプローチ法は様々あります。
そこでこのコラムでは、コーチングを「目標達成のために、内面や行動の変化・成長を促していくこと」と定義します。
コーチングがもたらす効果には、
- 問題解決能力が高まる
- 自分をもっと活かせるようになる
- 人生への幸福度、満足度などの質が高まる
などがあります。
ところで、「コーチングとカウンセリングの違い」について質問を受けることがたびたびあります。両者の違いはいくつかありますが、特に扱う目的やテーマが違います。
カウンセリングは一般的に「悩みや問題を解決する」ことが目的で、「マイナス」の状態から「ゼロ」までの領域がテーマになることが多いです。
一方、コーチングは「ゴール・目標などを実現する」ことが目的で、「ゼロ」から「プラス」の領域で“未来のポジティブなこと”をテーマにするケースがほとんどです。
とはいえ、「より良い状態」「望む状態」へと導くという目的は共通しています。
実際は、コーチングとカウンセリングをあえて分ける必要はないのではないかと筆者は考えます。コーチングでも、目標を達成するまでのプロセスにおいて、さまざまな悩みや不安、問題を扱います。カウンセリングでも同様に、問題解決していった結果として「望むゴールや目標」を扱うこともあるからです。
「コーチング」「カウンセリング」の枠を超え、精神面や行動面など幅広くサポートすることで、目的と役割を果たせることが理想です。そういう意味では、「10」を「100」にする、「プラス」をさらに「プラス」にする領域の「コンサルティング」要素が求められる場合もあり、知識面の提供、提言を行うこともあるでしょう。
いずれにしても、コーチングは、仕事のマネジメントや恋愛などのモチベーションアップはもちろんのこと、自分らしい生き方・働き方へとシフトさせるのにも役立ちます。
前置きが長くなりましたが、次の項からはどのようにコーチングが活用されているのか、具体例をご紹介していきますね。
仕事にコーチングを活用する
コーチングを仕事に活用する目的は、以下のようなものが挙げられます。
- 年収・売り上げのアップ
- 作業効率・業績の向上
- マネジメント・パフォーマンスの上達
- 業務における人間関係の改善
- 転職やキャリアアップ
- 独立・起業の成功
- 自分の才能・長所の活用
- やりたいことの明確化
ここで、転職を検討していたとある女性のケースをご紹介します。この方は、好きな業界、好きな職種を3つほど転々としていたのですが、いつも自分の「強み」と「活かし方」が理解できていない感覚があり、“不完全燃焼“でいたとのこと。そこで、コーチングで次のようなことを行いました。
- どういう働き方をしたいのか明確にする
- 得手不得手など「自分自身の使い方」を理解する
- 自分の能力を発揮できない原因となる心理面の改善
コーチングによって転職を繰り返す要因となっていた不完全燃焼な部分をはっきりと認識し、ご自身が持つ「強み」の理解に至りました。結果、転職は成功。新しい会社では「活かし方」を知ったことでより良いパフォーマンスを発揮できるようになり、仕事の成果や収入が大きく変化したそうです。
以前はうまくいかないことを環境のせいにしたり、自分の能力の無さに落ち込んだりしていたけれど、今では自分の目標を大きく設定できるようになり、内面の成長を感じると共に、人生を楽しめるようになったとのこと。
他にも、
・仕事上で日々感じていた「もやもや」や「違和感」の正体を捉え、対策行動を取れるようになり、モチベーションや行動力アップした
・求めている感覚、感情を言葉にすることで自分を客観視できるようになり、起業においてビジネスの方向性が固まった
・関係構築の癖がわかり、会社内でのマネジメントで成果が出せるようになった
など、仕事でコーチングを活用し、成果を上げた方が数多くいらっしゃいます。
プライベートにコーチングを活用する
コーチングをプライベートに活用する場合、その目的は多岐に渡ります。例えば、
- 社交的になりたい
- 自分の魅力を理解して自信を持ちたい
- 傷つきやすい自分を変えたい
などの内面的なことから
- ダイエット
- 習慣改善
- 資格のための学習
- スポーツ、趣味の分野の上達
といったこと、そして
- 異性に対して自信を持ちたい
- 異性に対するコミュニケーションスキルを身につけたい
- 理想のパートナーを見つけたい
- 恋愛・夫婦関係の問題を解決したい
という恋愛のことまで、多種多様です。
これらの課題に対し、コーチングがどんな変化をもたらしたのか、具体例を見ていきましょう。
仕事も充実、結婚願望もあり恋愛経験も人並みにあるのに、なぜかなかなか結婚できないことを悩んでいた女性の場合。実は、この方が思い浮かべていた理想の男性像は、深い部分を探ると、本来の理想とは大きくズレていたことがコーチングで判明。
自分が本当に望む理想像が理解できたところで、その理想通りの男性に出会い、スピード婚を実現しました。
自分らしく生きたいと思いながらも、親からの重圧で息苦しい毎日を送っていた女性のケースもあります。結婚願望もお持ちでしたが、お相手も焦れば焦るほど見つからない状況。なぜ自分の人生を生きることができていないか、コーチングで自身と深く向き合った結果、封印していた子供の頃からの夢を思い出しました。現在はロスへ移住し、通訳とコーディネータをしてらっしゃいます。移住先で理想のパートナーと出会い、国際結婚もされたそうです。
他にも、
- 仕事とプライベートの両立に悩んでいたが、自分の内面に存在していた“癖”を知ったことで、プライベートとの調和を取れる働き方へとシフトできた
- 自分の恋愛観、家族観、人生観と深く向き合うことで婚活が進まない理由に気づき、自分のことも他人のことも理解する能力が養われた。結果、良きパートナーと出会うことができた
- コーチングが転機となり、家事や子育ての分担でギクシャクしていた夫婦関係が改善した
など、さまざまなパターンがあります。
セルフコーチングのすすめ
ここまで、仕事とプライベートにおいてコーチングがどのように活用されているのか、具体例を挙げてご紹介してきました。
コーチングとは「コーチ」が「クライアント」を支援していく手法です。
そして、この「コーチ」と「クライアント」の役割を自分自身がおこなうことを「セルフコーチング」といいます。自分で自分をコーチングするのです。
例えば
- 自分が本当に望むことは?
- 現状の課題は何か?
- 今、何をしたら良いのか?
といった問いかけを自分自身にしながら、目指すゴールのために必要な「変化」を自分の中に起こしていきます。
専門のコーチに依頼することが本来のコーチングではありますが、このセルフコーチングがうまく機能するとコストもかからず時間や場所の制約も発生しません。
セルフコーチングとはある意味「自分との上手な向き合い方」を身につけること、とも言えます。
次回よりこのコラムでは「自分らしい生き方・働き方のため」に自分の内面を成長させながら、現実の仕事やプライベートを良い方に導くため「セルフコーチング(自分との上手な向き合い方)」のヒントとなる内容をお届けしていきます。