今さら聞けない「お金を増やす投資法」

マインドセット今さら聞けない「お金を増やす投資法」

誰もが気になるお金の話。最近は政府が老後資金問題の解決法のひとつとして金融投資を積極的に推奨していることもあり、ここ数年で証券口座を開設する人が急激に増加しています。とはいえ、初心者にはまだまだ心理的ハードルの高い投資の世界。そこでこのコラムでは、現役外資系金融マン・フォレックス氏が投資初心者の方に向け、投資の考え方から方法論までを解説します!

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3 老後資金は一体いくら必要なのか

金融庁の報告書による「老後2000万問題」に端を発し、ここ数年で急に取り沙汰されるようになった老後資金。読者の皆さまは現役世代がほとんどかと思いますが「老後のお金について考えてみたけど、よくわからない」といまいちイメージしづらいという方は少なくないのでは。そこで今回は「老後資金は一体いくら必要なのか」について解説します。

1. 老後世帯の平均支出と平均収入

そもそも何歳からが”老後”なのかーー。一般的には65歳以降となります。厚生年金や国民年金の受け取りが、原則65歳からスタートするからです(2022年7月時点)。
※1ヶ月単位で最大60歳から繰り上げ、75歳まで繰り下げが可

総務省統計局が発表している家計調査年報(家計収支編)によると、2020年(令和2年)の65歳以上の夫婦2人無職世帯の支出は、平均で255,550円です。そして厚生労働省の簡易生命表で平均寿命を見ていくと、男性は81.64歳、女性は87.74歳となっています。つまり、65歳から16年〜20年に渡り年間で約306万円の支出が発生することになります。

仮に、男性の平均寿命である81歳までにかかる費用を計算すると、
306万×16年=4,896万円 
となります。総額で見るとびっくりする数字ですね。

そして、65歳以上の夫婦2人無職世帯の平均の年金収入は256,660円(可処分所得で225,501円)となっています。3万円ほど支出が収入を上回る計算です。

平均的な数字だけをみると、毎月3万円の支出に耐えられる老後資金を作っておけばよいいと言えます。しかし、平均寿命は伸び続けていますから、65歳から20年〜30年ほどは見ておきたいところですね。

しかし、政府が示す老後の支出額はあくまでも現在の平均の話。でも、目指したい老後の姿は一人ひとり違うはずですよね。たまに旅行したり、外食を楽しんだりなど、自分らしく生きるためのライフプランを考えると、この金額では足りないような気がしませんか?

2. 総務省の発表は現状を反映していない

先述したモデルケースはあくまで2020年の平均です。でも、この数値はこのまま続かないだろう、というのは昨今の状況見てもおわかりかと思います。

1990年代から「デフレ・スパイラル」に陥っていた日本ですが、昨年からのエネルギー高騰、そして今年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻による原材料価格の上昇により、インフレが急激に加速しているのはご存じの通り。このインフレは全世界的な傾向ではありますが、日本は輸入への依存度が高いため為替の影響を受けやすく、特に注視が必要です。現在のレートは1ドル135円で、1年前と比較すると20%の円安。輸出企業にとっては好環境ではありますが、日本経済そのものは長く停滞している状況で、景気の先行きは不透明なまま。生鮮食品、日用品、エネルギーなどあらゆる物価の上昇は続き、家計における支出は今後も増加していくとみて間違いないでしょう。

では、年金はどうでしょうか。物価情勢に合わせ、支給される年金額は今後増えていうのかというと、答えはNO。実は日本は年金の支給額を物価の上昇とともに上げる制度(物価スライド)をやめ、2015年4月から少子高齢化による財政悪化の分を差し引いて支給額を決定することとしました(マクロ経済スライド)。
日本の年金制度は現役で働いている世代が高齢者を支えるという仕組みですから、少子高齢化が進んでいく中では、「年金をもらう側」よりも「年金を払う側」の方が少なくなっていくわけです。つまり、年金受給額のアップはほぼ見込めないと考えて間違いありません。

世界情勢の先行きは見えず、インフレにより支出は増え、年金額は物価を反映しない、ということは、老後資金は2000万 円では足りない公算が大。いわんや、人生を楽しむ余力など持てない可能性が高いでしょう。

3. 老後資金は結局いくら必要なのか

最初の項目で示したとおり、夫婦2人世帯における2020年の平均年金収入は年額308万円、平均寿命を20年として計算すると308×20=6160万円です。お一人ならその半分の3080万円。これは現在の水準から出した平均値です。
しかし、ご自身が老齢年金を受け取る年齢に差し掛かった時、果たして同じ額がもらえるでしょうか? 私は一人当たり月額10万円を切るのではないかと予想しています。65歳から受給を開始して、20年で2400万円。今の水準で考えても6000万円程足りません。

結論を言うと、必要な老後資金の金額は一人ひとり異なります。ライフプランによっては支給年金だけで生活することもできるでしょう。しかし、さまざまなことを楽しみながらゆとりのある生活を送るには、余裕をもって1億円ほど見積もっておきたいところです。

「1億なんて無理!」と絶望しないでください(笑)。やり方次第では、自分のイメージした老後を生きられる可能性が高まります。
ではどうすればいいのか。それには収入額を大きくすればいいのです。

例えば、生命保険の終身年金などにそういった商品があり、難しくはありません。また、不動産投資で1室持つなどして、家賃収入を得る方法もあります

不動産投資2室ほどを上手く運用できればさらに収入を増やすことができます。加えて、投資信託などの資産運用を早い段階で行なうことで、余裕をもって老後資金に備えることもできるでしょう。

定年まで10年以上ある方であれば、勉強しながらすぐに資産形成を始めましょう。自分でトレードするタイプの投資も習得できるかもしれません。10年も続ければ、投資のプロにかなり近づきますよ!

どの方法も開始するのが早ければ早いほど、利益の幅を大きくできる可能性が高まります。老後のためにも、自分らしい人生をあゆむためにも、今からしっかり準備していくことをおすすめします。


フォレックス

金融業界歴15年目の外資系金融マン。ファイナンシャルプランナー1級、生命保険募集人、証券外務員1種、簿記2級などの資格持ち。接客ポリシーは「お客さまひとりひとりに合わせた資産形成法をアドバイスすること」。お客さまの理想を実現するため、特定の金融商品などに固執せず、最適と思われる方法をしっかりリサーチしてアドバイスします。

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